大腸の症状・疾患
血便・便潜血
こんな症状はありませんか?
- 便に赤い血が混じっている
- 下着に血がつく
- 黒い便(タール便)が出る
- 排便後のペーパーに血がついた
- ゆるい便に赤いものが混じっている
- 健康診断で便潜血を指摘された など
血便・便潜血の原因
血便は出血している場所によって、便の色や状態が変わることが特徴です。消化器官の疾患が原因で出血が起こるほか、便秘や下痢を繰り返したことで、いぼ痔や切れ痔を発症している可能性もあります。また、直接は関係しないものの、ストレスが原因で消化管の機能が低下していると、出血の引き金になる場合があります。
診察の際は、ある程度の原因を突き止めることにも有効ですので、できる限り詳細に血便の状態を伝えていただくことが重要です。
考えられる主な疾患
潰瘍性大腸炎
大腸粘膜に慢性的な炎症が起こる病気で、難病指定されています。粘り気の強い赤い便を伴い、10~30代の若い世代でも見られます。治療は薬物療法が基本ですが、手術が必要になるケースもあります。
大腸憩室症
大腸の壁の一部が袋のように飛び出した状態(憩室)です。憩室自体は病気ではありませんが、便が引っ掛かりやすくなり、出血することがあります。真っ赤で大量の出血がある場合は、憩室出血の可能性を疑います。
その他
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 逆流性食道炎
- 十二指腸潰瘍 など
便潜血検査で陽性だった方へ
便潜血検査で陽性でも、出血の原因や病気の特定はできません。特に早期発見・治療が重要な大腸がんを始め、大腸ポリープなどの病変は、大腸内視鏡検査で見つけることができます。健康診断で異常が指摘された方は、お早めに小平市の宮村クリニックまでお越しください。
下痢
こんな症状はありませんか?
- 高熱やひどい腹痛を伴う下痢
- 下痢に血液が混じる
- 排便後も腹痛が続く
- 経験したことがないような激しい下痢
- 下痢以外に吐き気や嘔吐がある
- 症状が悪化している など
下痢の原因
大腸で吸収される水分量によって便の硬さが変わり、理想的な便はバナナ状、ペースト状のものを軟便、水っぽくなったものを下痢便と分類します。
下痢の原因は、飲みすぎや食べすぎなど日常生活が関わっているもの、ストレスやホルモンの影響、腸などの炎症、ウイルスや細菌感染、薬剤の副作用など、いくつかの種類に分けられます。
また、数時間から2週間以内で治まるものを急性下痢、3週間以上継続するものを慢性下痢と言います。特に、下記の状態には注意が必要です。
救急対応が必要な下痢
以下のような症状が見られれば、ただちに病院を受診しましょう。
- 急激な腹痛や高熱が出ている
- 1時間に1回以上の頻度で下痢便が出る
- 嘔吐を伴い水分補給ができない など
考えられる主な疾患
食中毒・感染性胃腸炎
ノロウイルスやロタウイルスの他、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、O-157、黄色ブドウ球菌などが原因で起こります。激しい下痢と嘔吐、発熱などの症状が特徴です。
周囲の感染状況や、同じ症状の人がいないかなどの情報が、診断に役立ちます。
クローン病
消化管に慢性的な炎症が起こる病気で、10~20代で発症することが多いと言われています。腹痛と下痢の状態が続き、体重減少が見られるのが、典型的な症状です。
現在の治療では根治は難しいものの、適切な治療で制限のない生活を送ることができます。
その他
- 過敏性腸症候群
- 大腸がん
- 大腸ポリープ など
便秘
こんな症状はありませんか?
- 排便してもすっきりしない
- 便が硬い
- お腹の張りがあって苦しい
- 排便時に強くいきむ
- 頻繁に腹痛が起こる
- 便秘薬を飲んでも改善しない など
便秘の原因
3日に1回しか便が出ていなくても、いきまずスムーズに排便できていれば、問題はありません。反対に、毎日排便があっても、すっきりしないと感じている場合は「便秘」と言えるでしょう。
食事の習慣や運動不足のほか、睡眠不足やストレス、薬剤の過剰摂取なども便秘を招く原因です。また、消化器疾患の症状として便秘になることもあるので、注意が必要です。
ただの便秘と思って放置していると、病気が隠れている可能性もあります。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
考えられる主な疾患
腸の機能低下
水分不足や運動不足、過度なダイエット、ストレスなどが原因で、腸の動きが十分でない可能性があります。まずは、こまめな水分補給を心がけ、生活習慣を見直すことが大切です。
薬の副作用
抗ヒスタミン薬、抗コリン薬、降圧剤、向精神薬などの服薬が便秘を引き起こしている場合があります。主治医に相談しながら、便秘の改善を図りましょう。
その他
- 大腸がん
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病 など
大腸がん
こんな症状はありませんか?
- 下痢や便秘を繰り返す
- 便が細くなった
- 血便、肛門からの出血
- お腹の張り、腹痛
- 食欲低下、体重減少
- 排尿障害 など
大腸がんの原因
大腸がんとは、大腸に発生する悪性腫瘍です。生活習慣が大きく影響すると考えられ、40歳を過ぎると特に発症しやすくなると言われています。
腫瘍が小さい間は症状がほとんどないため、便潜血検査によって見つかったときには、かなり進行している場合も多くあります。大腸がんにかかった親族がいる、40代以上で血便が出た方は、早めに大腸内視鏡検査を受けましょう。
大腸がんの治療
がんが進行していたり転移があったりする場合は外科手術が必要ですが、早期に発見できれば、内視鏡での切除が可能です。
大腸がんを早期発見するために
大腸がんは、早期発見・早期治療が非常に重要ながんです。大腸がんの早期発見には定期的な大腸カメラ検査が有効とされていて、特に大腸がんのリスクが高い方(家族に大腸がんの方がいる、大腸ポリープを指摘されたことがある、炎症性腸疾患があるなど)は積極的に検査を受けるようにしましょう。
当院では、大腸カメラ検査に対応しています。負担の少ない検査を心がけておりますので、安心してご相談ください。
(リンク「6.大腸内視鏡検査(大腸カメラ)」)
過敏性腸症候群
こんな症状はありませんか?
- 下痢、便秘
- 食欲不振
- お腹の張り、腹痛
- 排便しても残っている感じがある
- すぐにトイレに行きたくなる
- 職場や学校などに向かおうとすると、腹痛や下痢が起こる など
過敏性腸症候群の原因
過敏性腸症候群の原因ははっきりとわかっていませんが、ストレスや腸内環境の乱れが関わっていると言われています。緊張や不安が引き金になることが多く「またお腹が痛くなったらどうしよう」と悪循環に陥り、生活の質を著しく低下させてしまいます。
過敏性腸症候群の治療
まずは、大腸内視鏡によって腸に炎症やポリープがないかを検査し、重篤な病気ではないと確認することが大切です。過敏性腸症候群は、便秘型、下痢型、混合型、ガス型のタイプに分けられ、それぞれの症状に合わせた薬を使いながら治療を進めます。生活習慣の改善を図りながら、あわてずに対応していきましょう。
虚血性腸炎
こんな症状はありませんか?
- 左下腹部の急激な痛み
- 下痢
- 血便 など
虚血性腸炎の原因
虚血性腸炎は、大腸への血流が一時的に滞ることが原因で起こります。便秘によって血管が圧迫されるほか、ストレスや生活習慣の乱れ、動脈硬化が原因になることもあります。
虚血性腸炎の治療
痛みが軽く一時的なものであれば、腸を休ませて安静にすることで回復します。しかし、腫瘍が深くなると腸閉塞を起こす場合があり、入院治療が必要になります。予防のためには、水分補給や規則正しい食事など、便秘にならないように心がけましょう。